オフィスアクション(拒絶理由通知)
国際登録出願を出願して米国を指定した場合には、かなりの確率で暫定拒絶通報を受けることになります。これはマドプロの願書の記載事項と米国で権利を取得するために必要な事項の間には異なる部分も多く、また指定商品・指定役務の記載方法も大きく異なっています。米国特許商標庁からの暫定拒絶通報は、これらの記載事項に関する補正なども含まれますが、他人の先登録商標との類似や、識別力を有しないなどの理由によっても暫定拒絶通報が通知されることになります。
オフィスアクションへの対応
オフィスアクションは米国特許商標庁の審査官(Examining Attorney)が担当し、拒絶理由がある場合に、出願に通知します。応答のための期間としては、6ヶ月の応答期間が与えられており、例えば引例にあげられた商標の権利者とのCONSENTのための連絡を取ることも時間的には可能です。米国以外の外国の個人・法人は、マドプロで暫定拒絶通報が出された場合に、米国弁護士により応答することが義務付け (US licensed attorney required) られており、弊所を含むいずれかの米国弁護士を雇用して対応する必要があります。主な拒絶理由には次のタイプがあります。
書誌的事項の補正
書誌事項の補正については、その拒絶と判断した根拠となる審査官によるリサーチの結果が添えらていることが多く、また、補正内容の示唆が添えられている場合も多いです。軽微な補正対象などは、マドプロではない直接の米国出願では、審査官からの電子メールで職権補正の可否を問う場合も多いのですが、マドプロの場合は出願人には代理人が後日決定されるという前提があるために、軽微な補正対象であっても暫定拒絶通報が通知されます。指定商品役務の記載の補正については、補正の示唆がある場合も多いのですが、最終的て許可できる記載に至る前にどのような商品や役務を指定したいと思っているのかについての説明を求められることもあります。また、指定商品が日本語でしか表現できない場合も審査官側で疑問があれば説明を求められることがあります。
§2(d) or 2(e)拒絶
§2(d)の拒絶は、他人の商標権と抵触するという内容の拒絶理由で日本の場合の4条1項11号の拒絶理由と近いものがあります。日本の場合、標章自体がそれほど類似していないことを主張すれば意外とその主張を特許庁の審査官が受け入れる場合も多いと思いますが、米国の§2(d)の拒絶は標章自体の非類似の主張はそのままでは滅多に受け入れられることはありません。米国の商標権は、そもそも指定商品は全て使用されているとの前提があり、日本のように禁止権を見込んで線引きする感覚がないこともあり、言語も英語を中心としているために標章の文字列が決まれば、称呼のバリエーションも限定的です。§2(d)の拒絶に対応する有効な方法の1つとしては、商品の類似性(Relatedness)から類似していないことを主張する方法があり、日本の類似群コードのような所定の範囲を類似と見なすというような規定がないことから、商品を限定して反論することがあります。商品の類似性については、過去の審決などを参照して議論することもあります。審査官の拒絶理由に対して反論が必要な場合として、§2(e)の拒絶があります。こちらもハードルが高く、マドプロでない場合は補助登録(Supplemental Register)への変更で登録することも可能です。§2(d) 及び §2(e)拒絶では、反論のための意見書を作成します。結果としては、審査官の判断を仰ぐため、反論に成功することもあり、意見が受け入れられない場合もあります。
費用
手続 | 弁護士費用(税別) |
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意見書・補正書の提出 (書誌事項の補正、指定商品役務の記載の補正) | 40,000円 (弊所以外の出願は5,000円追加) |
意見書・補正書の提出(§2(d) or 2(e) の拒絶) | 100,000円 |
受任に必要な書類
見積り
こちらにオフィスアクションの対応を依頼される方は、受信したオフィスアクションのコピーを弊所まで送信して下さい。そのコピーを拝見した上でお見積りを差し上げます。特に直接会って打合せする必要はありませんが、ご依頼の前に顔合せの打合せを設定することもできます。なお、期限ぎりぎりの依頼では対応できない場合もありますので、早めのご検討をお願い申し上げます。
委任状
多くの場合に委任状は不要ですが、既に他の弁護士を代理に指名している場合には、弊所への委任状が必要となります。また、マドプロ経由の場合には、出願人の電子メールアドレスも米国特許商標庁に連絡する必要があります。