米国での商標登録出願をご検討中の方へ

米国商標登録出願

経済大国である米国で商標を取得することは、事業をグローバルに展開するための一歩となります。米国での商標登録には、連邦での商標登録の他に州ごとの商標登録もありますが、州の商標登録はその州内でしか効力がありません。外国である日本からの登録としては、全部の州で効力を発揮する連邦登録をしないで州登録を進める意味もあまりないことですので、連邦の商標登録を米国特許商標庁(USPTO)に対して進めます。

Times square, New York

出願の基礎(Filing Basis)の選択

米国で商標登録をする場合に、出願の基礎(Filing Basis)を選ぶ必要があります。この基礎の選び方で出願から登録までの手続が少々変わります。国際登録出願(マドプロ)からの保護の拡張を求める出願については出願の基礎は66aに決まり、他の基礎の追加や補正などの余地はありません。外国出願や外国登録を基礎とする設定として、出願の基礎44d(Foreign Priority)に対しては、対応する外国出願の出願日、国名、出願番号を提出しますが、これは優先権の効果を取得するために利用され、登録に際しては他の基礎1a, 1b, 44eが必要になります。出願の基礎44e(Foreign Registration)に対しては外国の商標登録の登録証のコピー、翻訳が必要で、指定商品・役務の範囲は外国登録の範囲内となります。使用の証拠の提出が必要となるのは、出願の基礎1a、1bの場合です。出願の基礎1a(Use in Commerce)は、原則的に出願日前から使用している場合に基礎とできるもので、世界中のどこかでの使用開始日と州際取引での使用開始日、使用見本を含み使用の証拠も必要で、通常は使用の証拠を出願に添付します。出願の基礎1b(Intent to Use)の場合は、許可通知が知らされてから6か月以内に区分毎の使用見本を含む使用の供述書(Statement of Use)を提出します。この6か月の期間は5回まで延長することができますが、その度に費用がかかります。米国商標出願についての出願の基礎1bを出願の基礎1aに補正もできますが、その場合には使用供述書(allegation of Use)を提出します。
米国商標 費用

費用

手続弁護士費用(税別)政府機関費用合計(税別)
米国商標出願 (TEAS plus)50,000円 (ready to file: 40,000円)+20,000円*区分数250 USD
(TEAS standard: 350 USD)per class
約50,000円+48,000円*区分数
意見書・補正書の提出
(書誌事項の補正、指定商品役務の記載の補正)
40,000円n/a40,000円
意見書・補正書の提出(§2(d) or 2(e) Refusal)100,000円n/a100,000円
使用証拠(SOU/AOU)の提出35,000円+10,000円*区分数100 USD per class35 ,000円+21,000円*区分数

出願書類

米国特許商標庁(USPTO)に対し、紙媒体での提出はできなくなっており、The Trademark Electronic Application System(TEAS)を使用しながら電子出願を行います。商標登録出願に際して必要な主な情報は、次のようになります。

  1. 出願人情報(名前、企業形態、住所、国籍、Emailアドレス)
  2. 商品区分の表示(trademark identification)
  3. 出願の基礎(Filing Basis)情報
  4. 商標見本(mark drawing)
  5. 翻訳(英語では意味が不明な場合)やDisclaimer(権利不請求)
  6. 商標の説明(Description of mark)
  7. 代理人の情報
  8. 使用証明(use in commerce出願のみ)

原則的に委任状(power of attorney)は不要です。商標見本としては、標準文字を選択する場合を除いて、幅、高さ共に250pixels以上944pixels以下のJPGファイルか文字商標で、ファイルを添付ファイルとしてアップロードします。標準文字(standard character)を選択する場合には、書類作成時に画面上でタイプすればその文字のファイルが自動に(フォントを選ばすに)作成されます。漢字や平仮名、片仮名は標準文字を構成しません。標準文字を構成する文字の一覧はstandard-character-setのページにその記載があります。”Trademark ID”は商品や役務の選択の表示で、日本の実務の感覚での”指定商品及び指定役務”を意味しています。商品区分の表示では、クラス見出しや包括的な表現の記載は受け付けられず、実際に商標を使用している具体的な商品名や役務名を記載することが求められます。商品区分の記載が、日本の記載方法と米国の記載方法ではギャップがあり、日本も米国もニース分類を採用しているものの、日本の記載のままでは上手くいかないことも良く起こります。米国は、ニース協定は分類を決定するのみであると考えており、多くの場合に、ニース協定に記載されている表現を認めていません。具体的な商品名や役務名はUSPTOのサイトで受理可能な商品及び役務の特定に関するマニュアルとして公表されていますので、こちらを参考にするのが賢明です。
米国特許商標庁は、ラテン文字以外で表現される標章に関し、英語による翻訳と、ラテン文字による音訳、またはラテン文字による当て字を行うことを義務づけています。翻訳(translation)の欄には、日本語や日本語の英文字表記について説明します。例えば”福”や”FUKU”についてmeaning “happiness” のように説明します。典型的な応答としては、”The foreign characters in the mark transliterate to “FUKU” and this meaning “happiness” in English.” 権利不要求(Disclaimer)は、商標の一部に普通名称や地名などを含むような場合には、普通名称や地名などに対して権利行使しませんとの覚書を交わすようなものです。例えば〇〇〇watchの商標で、腕時計を指定商品にしている場合には、watchを権利不請求として登録にもっていきます。商標の説明は、例えば色が商標の一部となるのか否かなどの記載や、ロゴや図柄の構成要素を記載します。